これはあたしがまりんさんのブログバナーを作っていただいたお返しです〜リクエストは堂上へのスキンシップ〜とてもかわいく甘い話です。
まりんさんありがとうございます!!
まりんさんありがとうございます!!
◇ まりん様より 2014-03-28
星に願いを 梅雨ももうすぐ開けるだろうという頃に堂上班は珍しく連休が取れた。それも滅多にない三連休だ。 「ふーん、で?恋人との初めての旅行に浮かれてるわけね。」 柴崎は器用に美白用のパックを顔面に貼りながら聞いてきた。 「べ、別に?浮かれてないもん!」 一瞬柴崎をひと睨みし旅行準備の続きを続行させた。 「それにしてもさぁ、初めての旅行がキャンプってどうなの?」 「へ?なんで?」 「奥多摩訓練定期的にいってんのにまだサバイバルするか?」 「サバイバルしないっつーの!」 「二人で野営訓練何するの⁈」 「野営じゃないっキャンプ!」 「テントの中って…アオカンになるのかしら。」 「…アオカンって?」 「いや、まてよ、テントの中だから外だけど外じゃないわよね…」 「ちょっと、柴崎?アオカンって何!」 「んもー、純粋培養乙女なんだからー。青姦。野外で性行為することよ。」 「………!!」 「やだぁ、笠原ったらぁ、リンゴみたいに赤くなっちゃって。」 「し…しないし!純粋にキャンプだし!そ…それに、二日目は温泉に泊まるし…。」 「なーんだ、キメるとこしっかりキメてるじゃん、堂上教官!そっかー、温泉かぁ。 テッパンよねー、浴衣姿にお互いトキメキあってー。ちょーっとエッチぽいわよね。」 ボスんっ 詰め終わった荷物を派手に音を立てて置く。 「あんたはー!そんなことばっか言って!」 「顔赤くしながら突っ込まないでよ〜乙女なんだからぁ」 「うるさいわっ」 「あ、その口調堂上教官みたい。」 「ほっとけっ」 「あ、それも。」 「しーばーざーきー!」 「はいはい。お土産よろしくねー!」 「あんたって…」 その後も恋人との初めての旅行に気持ち高ぶる郁とそれを見てからかう柴崎のおしゃべりは夜中まで続いた。 ※ 初夏、快晴。 「うわあぁぁぁぁっ!マイナスイオンだー!教官ー!新緑の香りがするー!」 キャンプ場に着いて場所を確保すると郁は荷物をほっぽり出してくるくる駆け回り出した。 「…お前は子供か。」苦笑しながらも着々とテントの準備をしていく堂上は、日頃の訓練の成果かやはり手際がいい。 堂上と郁が訪れたキャンプ場は、山奥にあり鬱蒼とした木々の中小さい小川も流れている知る人ぞ知る小さなキャンプ場だった。 季節的にキャンプシーズン突入しているわけだが、このキャンプ場に人は疎らだ。 ホームページも無いこのキャンプ場はまさに口コミオンリーという徹底ぶりで、 ファミリー向けに作られた便利なキャンプ場ではないがこのキャンプ場ならではの楽しみがある。 それをふたりが体験するのは、もう少し後のお楽しみだ。 「わぁすごい!立派なテントですねー!かっこいい!」 「親父は昔からアウトドアに凝ってたからな。」 老舗ブランドのラウンドスクリーンと呼ばれるファミリーサイズの大きめのテントは2ルームになっていて、 シェルフ型のリビングから1ルームのテントが繋がる形になっていた。 「これなら雨ふっても槍がふっても大丈夫ですねー!」 「山だからな、雨は心配だが槍は降らんだろ。」 「るるる〜」 「聞いちゃいないな。」 本格的なキャンプは初めてだという郁はすこぶる機嫌がいい。 「あれ?寝袋で寝るんじゃないんですか?」 寝室に使う予定のテントに広げられたのは、軽量のエアーマットレスだ。サイズもダブルはあるだろうか。 「ん、親父が寝袋があまり好きじゃないらしくてな。最近はこんなマットレスで優雅に寝るらしいぞ。」 ほれ、とテント脇に停めてある車から毛布とタオルケットを数枚、郁に手渡す。 寝袋だと手も繋げないなぁと寂しく思っていたので、この意外な寝具に郁は殊の外安堵した。 ひっそり感じた安堵は顔にだだ漏れしていたようで、すかさず堂上からツッコミが入った。 「ーなんだ、くっついて寝れるから嬉しいのか。」 ニヤニヤしながら意地悪そうな顔の堂上に図星をさされて郁は一瞬で真っ赤だ。 「まあまあまあまあ、この大きさだとな、ナニするにも問題ないだろ」 ニヤニヤする堂上に肩をポンッと叩かれ走馬灯のように柴崎との会話がぐるんと巻き戻る。 『テントの中って…アオカンになるのかしら。』 『…アオカンって?』 『んもー、純粋培養乙女なんだからー。青姦。野外で性行為することよ。』 赤くなった顔はますます上昇する。 「きょ…教官のスケベー!」 思いっきり叫ぶと堂上は声を出して笑っていた。 一通りのセッティングを終えてもまだまだ日は高い。 せっかくの非日常空間だ。 二人は自然を楽しむことにした。 小川で足を涼ませたり、森林浴に散歩しに行ったり。 グリルの火は絶やさずに、バーコレーダーで珈琲を入れたり、お肉やチーズフォンデュをワインとともに時間が許す限り楽しむ。 外で食べることも飲むこともこんなに楽しいと思ったことはない。 だってなんだか新婚さんみたい… 家の代わりにテントだけど。 キッチンの代わりにバーベキューグリルで。 ベッドの代わりにエアーマットレス。 もし子どもができたら…やっぱりこうやって一緒にキャンプしたいな…。 肉や野菜を焼く堂上の姿に胸を躍らせながら、郁は幸せを噛みしめる。 「だいぶ暗くなったなぁ。」 堂上はもうまもなく紫色からふかい藍色へとグラデーションへと様変わりする夕暮れ空を見上げて呟いた。 「そうですね。」 キャンプ場には必要最低限の電灯と事務所横のシャワー室とトイレ付近辺りに電気は固まっているが、実際テントを張ってるエリアはもうほぼ真っ黒だ。 各自の敷地で灯すランタンの灯りだけが頼りだ。 「キャンプって楽しいですね!時間がゆっくり過ぎるっていう感じ…」 「そうだな。ちびちび酒飲んでるのもいいな。」 ダイニングチェア用のイスから郁は突然立ち上がり、コットチェアの端に腰掛けた。 「教官教官!こっちこっち!」 笑顔で郁の指が指す先は、自分の太もも。 堂上が意図がイマイチわからず首を傾げると、「膝枕!してあげます!」 普段の郁ならまず思ってても口にはしない。 野外の雰囲気に開放されたか、酔ってるか。 ちらりとテーブルを視認すると郁用のチューハイの缶が二本あいていた。 堂上は内心苦笑しながらも、こんなオイシイ展開はいただくとするもんだろ、 と大人一人がゆったりと寝ることができるコットチェアに横になり頭を郁の太もものうえにそっと置いた。 隣のテントとはお互いに干渉できないくらいの程よい距離があって、普段人前でイチャつくことのないこの二人にも僅かばかり大胆に慣れるようだ。 「気持ちいいな。」 夜風が、微かに頬にあたる。 初夏といえども山の中は涼しくふたりとも長袖をきていた。 「あっ教官、一番星!」 「お、ほんとだ。キレイに光ってるな。」 郁が見上げていると、堂上も膝枕のまま空を見上げる。 だんだんと想像よりも早くに空は夜空へと変わった。 「星の量がすごいな。」 「キレイ…手が届きそう…」 そう言いながら手を空に向かって伸ばした。 この小さなキャンプ場が口コミで人を呼ぶ理由。 それがこの満天の星だった。 都会の喧騒とは全く無縁の森の中。 自然を文句なしに楽しめるキャンプ場だ。 「こんな満天の星空初めてです。」 「奥多摩で見るよりキレイに感じるな。」 ふたり目を合わせ、ふふっと微笑む。 「あー…、気持ちいいな。」 程よい酒量とそよそよ靡く夜風に堂上は目を閉じた。 暫くすると郁の手が髪を触ってきた。 撫でるように触れる手がことのほか気持ちいい。 されるがままになってると郁が喋り出した。 「教官の髪は黒くて短くて好きだな。」 「…なんだそれ。」 「眉毛もキリッとしてて、奥二重の切れ長の目も好き。」 言いながらそっと郁の手が堂上の頬を包む。 「…ん?」 ちゅっ 「隙ありです!」 微かに柔らかい唇が触れた。 「………」 「教官、目を閉じてください!」 珍しい郁からのキスに反射で目を大きく開けたが、また言われるままに目を閉じた。 「…鼻筋もすーっと通ってて、かっこいい。」 言葉とともに鼻筋をなぞる。 「おいっくすぐったい!」 「もうっ目を閉じてってば!」 「なんなんだ、一体。」 「教官を堪能したいのー!」 「……!」 「ほら、早く目を閉じてください」 女にこんな風に顔を触らせるなんて始めてだ。一体何の拷問だ。 ………でも嫌じゃないんだよな。触れられることが心地よくさえ感じる。 それはきっとー。 こいつだからなんだろうな…。 「教官ってモテたでしょ。」 少し拗ねたような声で聞きながら、指は堂上の唇をプニプニと触る。 「…くすぐったい。」 唇が言葉の通りに動いても、郁の指はいまだプニプニ押している。 「ね、モテた?」 ようやく指が離れると最初の出発点に戻ったようだ。 優しい手付きでまた髪の毛を撫でだした。 「何を期待してるのか知らんが、モテた記憶はないぞ。」 「嘘。」 「小牧や手塚みたいな奴らがモテると言うんだろうが。」 「教官は愛想無いから。」 クスクス笑う声が静かな木々の揺れる葉擦れの音に絡んでくる。 「入隊した頃、柴崎筆頭に同期の女子が言ってたもん。顔かっこいいって。」 「それなら覚えてるぞ。チビで性格の悪いクソ教官だったか。」 「わっ!覚えてるんですかっしかもそんなハッキリと!」 「記憶力の良さは折り紙つきなんでな。」 「うー、そのあれは…」 「わかってるよ、バカが吠えてただけなんだろ?」ククッと堂上は笑った。 自分たちの話した何気ない会話をちゃんと覚えてくれていることに胸があつくなる。 「教官、教官。」 「ん?」 「笠原は、どうやら酔っているようです。」 ………今さら気づいたか。 「だから変なことを口走るかもしれません。」 「…うん?」 「教官、教官、教官。どーじょーきょーかん。」 「なんだよ、呼びすぎだ。」 「大好きです。一緒にキャンプできて、こんな満天の星空を見ることができて笠原の一生の思い出です。」 閉じていた目を開けると、郁は憂いを帯びた瞳で堂上を見つめていた。 その表情は、幼い出会った時のものでもなく、部下のものでもなく、只、恋情を知った女の顔だった。 その顔は素直に綺麗だと思えた。 「…郁…」 そっと下から手を伸ばして郁の頬を触る。 「お前、綺麗になったな。」 郁が息をのむ音が微かに聴こえた。 名残り惜しいが膝枕はお終いだ。 膝枕を堪能するよりも、もっと…もっとしたいことがある。 「よっ…」と堂上が起き上がるとギシッとコットチェアが揺らいだ。 そのまま郁を引き寄せ抱き締めた。 「前にも言ったがお前が思ってる事、俺が思ってないと思うなよ。 キャンプも星もこれからいくらでも連れてきてやる。思い出たくさん増やそうな。」 「教官…」 周りは木々で鬱蒼として月明かりとわずかなランタンだけの灯りがやはり少し二人を大胆にさせる。 重なりあった唇はしっとりと触れ合い、絡めあった舌はリズムを刻むように速くゆっくりを繰り返す。 鼓動も手も指も重なりあう。 もっと、もっとと抱きしめ合う。 月の明かりに、星のあかりに照らされて。 こんな夜も悪くない、とお互い思いながら。 fin. 後書きー! 親愛なるMUMUさん! バナーまじありがとう(。>∀<。)宝物にするー♥︎ こんなシュールな感じのベタ甘だけど楽しんでもらえたらいいな。 ありがとうございました! |