新年早々にののさんから年賀小説を頂きましたので、寄贈品のコーナーを作りました〜
今後貰った作品を許可できたらこのコーナーに載せますわ〜うれしい!!ののさんありがとうございました!
では、ゆっくりご覧くださいませ。
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◇ のの様より 2014-01-01
そっちに行きたい 堂上家のダイニングキッチン、そこから繋がる手狭なリビングにコタツが御目見えした。 ダイニングキッチンとリビングを仕切るように置かれたソファと、リビングの壁際に置かれたテレビとの間に鎮座するそれは部屋の都合上やや小さめである。 一辺に座れる人数は一人。 最大定員四人という代物だ。 そしてこのコタツ…。 何と言っても特等席はテレビに正面を向く一辺。ソファに背を凭れ、ぬくぬくとテレビを見れるその座席が冬の郁のお気に入りだった。 とある公休日。 外は冬空が寒々しい。 今日がオフで良かった、と郁はお気に入りの場所で小説の頁を捲った。 朝から回した洗濯物も今日は室内干しだ。 乾燥しがちな空気も洗濯物のお陰か適度に潤っていた。 コトン 「…」 無言で二人分のカモミールティーをコタツの天板に載せる堂上に郁は微笑んだ。 「篤さんありがとう!テレビ、見る?」 是、と答えたならこの特等席を譲ってくれるつもりなのだろう。堂上はよく出来た妻に複雑な思いを抱いた。 「ん、いや…いい」 堂上はそう言うと郁の右手、正面にベランダを望む一辺に入り込む。 「あ、すまん」 狭いコタツの中で足が当たらないようにするのは難しい。郁の足が長いのだから尚更だ。郁は別段気にした風もなく、いいよと返すと再び読書に没頭した。 堂上は足を胡座に組み、自ら入れたカモミールティーを口に運ぶ。 「あつ…」 堂上の呟きは読書に没頭する郁には届いていない。 堂上は面白くなかった。 コタツが出てきてから郁とのスキンシップが減った、と。 そう思っている。 コタツ購入に際し、堂上は郁と揉めた。 『あんな狭いリビングに場所を取るモノを置くのか』と。 もちろんそれは建前で、郁の隣に座れなくなるのが寂しい、というのが本音の所だった。 そんな恥ずかしい本音が言える筈もなく、それならば、と郁が探して来たのが堂上家のリビングに神懸ったようにぴったりのこのコタツ(定員四人)であり、それならば最初から多少無理してでも長方形タイプのやつにして二人並んで入れるやつの方が良かったのに、と堂上は後から臍を噛んだ。 兎にも角にも。 堂上は寂しい。 読書に耽る愛妻に構って欲しくて、ついちょっかいを出す。 伸ばした足が郁のふくらはぎに触れる。 よくあることだと思ったのか郁はまだ気にもしない。 もう一度郁のふくらはぎを掠める。 「……」 郁は無言で本を読んでいる。 堂上はついに足の指を使って郁のルームパンツを捲り始めた。 「…ちょっ、篤さん!!」 まだまだ止まらない。 寂しかったんだからな俺は!! 足先の器用さを生かして、よく暖まった郁のふくらはぎを擽り始めた。 「ひゃっ!?やん、やめてっ…やだ!!」 そ知らぬ顔で一頻り弄んだ堂上は、コタツから足を抜いてお冠の郁を見遣る。 郁の顔が赤いのはコタツのせいだけではあるまい。 「もうっ、篤さん!!」 割と真剣に怒っている顔に、堂上は拗ねて頬を天板に預けた。 待機電源が入っているだけのテレビの画面が見える。 自分の拗ねた顔を覗き込む郁の頭がぼんやりと映る。 「…篤さん?」 ヤメロ今優しくするな狼になっちゃうぞそれでもいいのか? 「この席座りたかったら最初からそう言えばいいのに~」 堂上は郁の斜め上な優しさにがっくりとため息を吐いた。 「お前な…」 郁を仰ぎ見る。と、郁は徐にコタツを出て堂上の背後に回った。 そのままぎゅっと背中にしがみつかれる。 よく暖まった郁の体が背中に気持ちいい。 「う・そ!…寂しかったならそう言えばいいのに」 言いつつ郁は堂上を抱き込むようにして自らの足先だけをコタツに突っ込んだ。 「…やっぱり二人で入ると狭いね」 クシュン!! 郁が小動物のようなくしゃみをした。 「バカ…。反対だ」 堂上はそう言うと素早く郁と自分の位置を入れ替え、郁を前に抱き込みコタツに入った。 「…狭い、な…」 「うん…でも」 近い、ね。 嬉しそうにそう告げる郁に、初めてコタツの良さを享受した堂上だった。 終 |